今や幅広く知られるようになり、書店での取り扱いも増えた「エンディングノート」

いろいろな種類が発売されていますが、どれを選んだらよいかわからない方も多いはず。

そんな中、遺品整理・生前整理を専門に行う大橋運輸さんが、オリジナルのエンディングノートを作成したとのこと。
市販のノートとの違いや特色、書くことによって得られるメリットなどを、制作に携わった須藤さんに伺いました。

告知とともに反響が!
エンディングノートが広まりつつある

エンディングノートと、記入に必要な通帳や証書

引用元:https://www.photo-ac.com/profile/1714940

-「今回、独自のエンディングノートを作られたとのことですが、経緯を教えてください」

須藤さん(以下敬称略)「弊社では遺品整理と生前整理を専門に行っているので、もともとエンディングノートの重要性をお伝えしていたのですが、現場を知るからこそ『こういうことも入れるといいのでは?』という思いがありました。
そこで、厚生労働省が設定した『もしもの場合の医療ケアを含め、大切な人と大切なことを話し合う人生会議の日(11/30)』に向けて配付できるノートの作成チームを結成したんです」

--「政府からも特定の日が設けられていたとは知りませんでした。
現場を知り尽くしているからこそ、専門的なものを制作できたと思うのですが、どんな行程だったのですか?」

須藤「まずは市販のノートや保険会社さんのノート、市町村さんからノートを取り寄せ、検証・検討しました。
残す項目を検討しながら、現場で得た経験を盛り込み、最終的には、『エンディングノート普及協会』さんに監修していただいたんです」

--「トップの方のお墨付きというわけですね。
配付したあとの反響などはいかがでしたか?」

須藤「地域のホームニュースに掲載したところ、すぐに社の電話が鳴りました。近所の方は取りにいらっしゃいましたね。
掲載の翌日は土曜日で普段より出社する者も少なく、有り難いことに電話対応に追われていました

--「すごい反響だったんですね!
やはり地元密着の大橋さんだからでは?」

須藤「そう言っていただけると嬉しいですね。
お客様からも『存在は知ってたんだけど、どれを買っていいかわからなくて』とか『大橋さんなら間違いないと思って』と言っていただけました。
中には『無料だからもらっておこうか』という方もあったかもしれませんが(笑)」

--「どんな理由であれ、知ってもらったり、書いてもらうことに価値がありますもんね。
それでは、エンディングノートを書くメリット、さらには御社のノートの特色を教えてください」

特色1:残される人が訊きにくいことまで、
エンディングノートを通じて訊ける

エンディングノートの作成を手伝う女性

引用元:https://www.photo-ac.com/profile/638920

須藤「まずはエンディングノート全体に言えることなのですが、大前提として『残される人のため』というのがあります」

--「はい」

須藤「エンディングノートのコンテンツって、基本は決まっているんです。それが

  1. プロフィール
  2. 医療・介護
  3. 葬儀について
  4. 財産について
  5. メッセージ

なんですね」

--「項目にするとわかりやすいですね」

須藤「私にも70代の母がいて、まだまだ元気なんですけど、やっぱり『もしも』を考えないわけではないんです。
でもそのままズバリは訊きづらい。
『お母さん、延命治療はしたいのかな』とか『お葬式の時は誰を呼べばいいのだろう』とか考えてしまって…」

--「命に関わるので『縁起でも無い』になりがちだけれど、本当はとっても重要ですよね」

須藤「ええ。そんな時に『こんなものがあるんだけど…』と切り出すと、すごくスムーズなんですよ。
家族の会話の一環として活用してもらいたい。そんな思いがありました」

--「ツールがあると切り出しやすいですね」

須藤「ええ、両親に『こんなものをもらったんだけど、書いてみない?』と伝えて、質問に答えてもらえば進められますからね」

--「価値観ってそれぞれですもんね。
私の知人でも『お葬式もお墓も要らない。身内だけで散骨して欲しい』と言っているケースもありますから」

須藤「最近は40代の人でも書いていますし、弊社の社長は『結婚した時点で書き、足していく』ということを勧めています。
特に弊社の質問事項はかなり細かいので、一冊完成すれば残された人は絶対困りません!
そして、質問に答えるということは、2つ目のメリットにも繋がります」

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特色2:自分の価値観がわかる

--「質問に答えていけば完成するとのことですが、どんなメリットに繋がるんですか?」

須藤「エンディングノートにはいろいろな種類がありますが、前述のようにうちのは細かくて…なんと30ページもあるんですよ

ーー「30ページ! それは大変ですね」

須藤「確かに全部埋めようとすると大変なんですが、それこそが特色なんです。
なぜなら誰でも『ここは書かなくていいか…』っていうところがあると

--「私なら…財産はそんなにないですから(苦笑)、その部分は飛ばしてしまうかも」

須藤「なるほど(笑)。逆にすごく細かく書いてしまうところは、こだわりがあるということなんです」

--「最近はお葬式のBGMも選べるそうですし、『装花は菊じゃなくてバラがいい!』なんていう方もいらっしゃるかも」

須藤「そうなんです! 日常では気づかない細かな価値観がはっきりしていくんですよ。
財産にしても、たくさんお持ちの方は、例えばヨットは誰に譲り別荘は誰の名義にして…なんてことを書く欄もあります」

--「淡々と財産分与を書く人もいれば、メッセージに重きをおく人もいる

須藤「はい。
それから、うちだけの特色だと思うのですが、デジタルの生前整理についても明記する欄があります」

ーー「以前、データや写真も断捨離®を。「デジタル生前整理」のススメにもありましたね」

須藤「サイトによりアカウントや暗証番号が違うことも多いので、記憶が新しいうちに明記しておくといいですね」

--「iPhoneに代表されるApple製品は、暗証番号がわからない限りどうやっても開かないそうなので、デジタル生前整理は早めがオススメですね」

須藤「加えて、飛ばしてしまった項目について『本当にこだわらなくていいの?』と見直すきっかけにもなるんですよ」

--「私、自分の保険の中身とか、詳しく知らないかも…
そういうところの見直しにもなるんでしょうね」

特色3:これからの人生を決められる

セカンドライフ・ライフプランを考えよう!

引用元:https://www.photo-ac.com/profile/834273

須藤「3つ目は先程の『本当にこだわらなくていいの?』とも繋がるのですが、これからの人生が決められるということなんです」

--「具体的にはどんなことですか?」

須藤「実は、弊社のスタッフが、実際記入する中で気づいたことなんです。
スタッフは書いてみて、お金や保険の面で気づいたことがあったそうで…」

--「書いてみて『これが足りない』という発見があった?」

須藤「おっしゃるとおりなんです」

--「例えば、積み立て保険は入っているけれど、医療保険が足りていないとか、この先学資だけで、大学まで充分に行かせられるかなど

須藤「書面で見える化したからこそ、わかったという事例ですよね。
スタッフもいい機会だと、保険の見直しをしたそうです」

 

--「以前社長から伺ったんですが、エンディングノートで『誰に何を伝えたいか』というところが書けなかった方がいたそうで…。
自分は会社と家の往復で、友達は学生時代の友達だけだった。これからは行動範囲も広げてみようと思ったそうです」

須藤「まさにそれなんですよ。足らないところを発見した上で、今後の人生でもそのままにするのか、補ったり充実させていきたいのか。
これからも続く人生をどう生きたいか、それを検証できるのもエンディングノートの大きな役割だと思います」

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まとめ:エンディングノートは今すぐ書こう!

--「今回お話を伺いましたが、エンディングノートを書くのに『早すぎる』ということはないんですね」

須藤「その通りです!」

--「エンディングノートを書くメリットとしては

  • 残される人が困らない
  • エンディングノートを介して聞きづらいことがスムーズに聞ける
  • 自分のこれまでの価値観がわかる
  • 自分の今後の人生を組み立てられる

ということですね。

須藤「ええ」

--「では、大橋さんのエンディングノートが欲しい場合はどうするといいですか?」

須藤「瀬戸市の地域包括センターのほか、瀬戸市役所、尾張旭市役所にも置いてございます。
お近くの方は、事前にお電話していただき、お越しいただければすぐにお渡しできます

--「在庫がすぐなくなってしまいそう!」

須藤「実は11月1週に刷ったものが第1弾で、今お配りしているものは第2弾なんです。
1,200冊刷りましたが、弊社に残っているのは100冊ほどなので、気になる方はお問い合わせください」

--「とはいえ、どうやって取り組んだらいいかわからない方もありそうですが…」

須藤「そういう方のために、書き方セミナーを1月に開催予定です。
先程お伝えしたエンディングノート普及協会の方に来ていただき、講座を行います。
詳細はこのサイトや大橋運輸のサイトで告知します

--「これ一冊あればOKで、さらに書き方が習えるとは心強いですね。
ぜひ気になる方はお問い合わせしてみてください。
今日はありがとうございました」

 

取材・執筆/「綴屋」ライター:増田有香(https://tsuzuriya.jp/