皆さんは「リサイクル」と聞くとどんなことを思い浮かべるでしょうか?
自分の不要なものをお金に変えること?
無料で差し上げてしまうこと?
不要なものを必要な人に売ること?
それぞれ、思い浮かべるイメージがあると思います。
そこで今回も、引っ越し・遺品整理・生前整理を専門に行っている大橋運輸さん(瀬戸市西松山町)を訪ねました。
お話ししてくださったのは、リサイクル担当部署のリーダー、入社7年目の松下壱成(いっせい)さん。
プロが考える「リサイクルがもたらす、ユーザーのメリット」とは何でしょうか?
遺品整理・生前整理において、
リサイクルできるアイテムとは?
引用元:https://www.photo-ac.com/profile/43626
--「大橋さんは引っ越し業務が有名ですが、遺品整理や生前整理も増えていますよね」
松下さん(以下敬称略)「はい。お陰様でセミナーなどもやらせてもらっています。
遺品整理は認知が広がってきましたが、実は生前整理が重要。
なぜなら、部屋を整頓することが、安全に快適に日々を暮らしていただくことに繋がるからなんです」
--「モノが多くて動線がふさがれ、ケガをするなんて話をよく聞きますし、決して旅立つための準備じゃないんですよね。
ところで、遺品整理と生前整理では、片づける内容も違ってきますか?」
松下「生前整理は今後もそこに住むので、お客様が『要るか要らないか』を、より細かく仕分ける必要があります。
スムーズに進むよう、プロの私たちが寄り添う感じですね。」
--「整理をしていくと、具体的にはどんなアイテムが出てくるのでしょうか?」
松下「ざっと挙げると、家具・家電・洋服・食器・寝具・おもちゃ・衣類・生活用品全般ですね」
ーー「なるほど。最後の生活用品全般とは?」
松下「ジューサーやドライヤー、アイロン、目覚まし時計にお弁当箱…」
ーー「洗面所や台所、居室にある細々としたアイテムが含まれるんですね。
さて、松下さんはリサイクル専門部署のリーダーとのことですが、現場でお客様から直接『リサイクルをお願い』と言われるのでしょうか?」
松下「どちらかというと『リサイクルもできますよ』とご提案する感じです。
一概にはいえませんが、捨てるものが4割、リサイクルが6割になります」
--「6割がリサイクルとは、意外に高いですね!」
松下「そうなんですよ。
『全部捨てようと思っていたのに、売れるのね』とおっしゃる方もいます」
--「では具体的なリサイクルへの取り組みと、私たちユーザーへのメリットを教えてください」
経済的・心理的にメリットあり
「輸出」という方法が強み
引用元:https://www.photo-ac.com/profile/2328559
--「先程「6割がリサイクル」とのことでしたが、どんな方法でリサイクルするのですか?」
松下「まず、4割は輸出します」
--「輸出ということは外国に持って行く?」
松下「はい。弊社ではフィリピンが中心です。
本格的に取り組み始めたのは6年ほど前ですが、外国に輸出ができるのはうちの強みですね」
--「なるほど」
松下「日本人には『もったいない』という精神がありますよね。
遺品整理では『全部捨てて欲しい』ということが多いのですが、整理していく中で『おばあちゃんが大切にしていたから、誰かが使ってくれたら…』という声がわいてくるんです」
ーー「確かに…まだ使えるものもたくさんあるでしょうから、そんな声から生まれたサービスなんでしょうね」
松下「ええ。さらには社会貢献という意味もあります」
ーー「必要としてくれる方に届き、『遠い異国の地で大切にされているかな?』と思うとこちらも嬉しいですね。
ということは、輸出は精神的なメリットが大きいんでしょうか?」
松下「経済的なメリットもあります。
家具や寝具、大きな家電などは、処分する際に引き取り料金が発生しますが、弊社では輸出するのでその料金がカットされるんです」
ーー「余分な料金がかからず、誰かに喜んでもらえるなら有り難いですよね」
松下「アイテムとしては家具、使っていない食器や寝具が対象です。
電化製品は電圧の関係で、衣類は法律で輸出不可なので、それらは国内で売る方法を取ります」
--「それが残りの2割なんですね」
松下「はい。『売る』という方法です」
--「メルカリで売るとか、リサイクルショップに行くとか、皆さんされないのかしら?」
松下「基本皆さんお急ぎですからね…あまりないです(苦笑)。
具体的にはまず高価なもの。時計や宝石ですね」
--「質屋さんや買い取り店に依頼されるんですか」
松下「ええ。骨董品もそうですが、専門の方に見てもらいます。
お酒などはお客様でも持って行けるので、『専門業者に売った方が高くなりますよ』と勧める時もあります」
--「儲けが少なくなってしまうのに…良心的です!」
松下「そして、一番売れるのが家電。
最新型の大きな冷蔵庫なら、数万円で売れることもあるんですよ」
--「製造年がポイントになりそう…」
松下「ですからなるべく早い方がいいんですよ。
生前整理やお片付けに伺うと、新品が出てきたりするので『早く売りましょう!』と」
--「新品の家電が住まいから出てくるとは、どんな状況なんでしょう?」
松下「お店で勧められるままに買ったけれど使い方がわからないとか、説明書が読めなくて使えないという状況です。
あとは、買ったものの動かないので違うものを買い、しまったままにしたものを調べたら、使い方が間違っていたなどでしょうか」
--「今は機能が細かすぎますからね。私でも戸惑う時があるので、年配の方だともっと厳しいのかもしれません」
松下「その通りです。
ですから売ることはもちろん、安全面も考えて早めに片づけされるのがいいですね」
--「先程、専門の業者さんにもご依頼されるとのお話でしたが、御社で査定はされないのですか?」
松下「選別の知識がないと捨ててしまう場合もあるので、気になるものはすぐに調べます。
特にファンやマニアの多い、おもちゃや文房具、骨董品には気をつけていますね」
--「他に驚いた物などありますか?」
松下「そうですね。弊社のある瀬戸・尾張旭近辺は昔から続く大きなお宅も多いので、蔵の中から小判や日本刀、火縄銃なんかが出てきたときもありますよ」
--「それはびっくりしますね」
松下「不要品は譲ったり売ったりできることを、もっと知って欲しいと思いますね」
--「遺品整理や生前整理は、『全捨てする』と思っていました…」
コロナ自粛で断捨離®も増加!
『捨てるところがない』お悩みも
ーー「コロナの自粛で、掃除をしていた人が周りに多かったんですが、ご依頼もあったのではないですか?」
松下「家に誰か来るのが恐いというのもあったので、特に増えてはいませんね。
ただ、お隣の尾張旭市では大変なことが起こっていたんです」
--「どんなことですか?」
松下「おっしゃるように、大掃除をしていて不要品が激増したんでしょう。
処分場で、まさかの『ゴミの持ち込み禁止』という事態が起こったんですよ!」
--「ゴミが捨てられないということですか!?」
松下「そうなんです。
地域によって異なるのでしょうが、尾張旭市では処分場に自分でゴミを持ち込めるんです。
そうすると早く処分できるので、家がスッキリしますよね」
--「ところが引き取ってもらえない…」
松下「ええ。でも個人ではなく、業者なら捨てられるんです。仕事ですから。
今はもう処分場でも引き取れるようになりましたし、コロナも収束しつつありますが、不意のケースではプロが強いこともお伝えしたいですね」
--「困った時はやはりプロ!
先程も述べましたが『全捨て』するのが当たり前だと思っていたことも含め、業者選びも必要になりそうですね」
松下「中にはモノを投げて扱う業者もありますから…」
--「大橋さんでは作業品質を大切にしていらっしゃるそうですね」
松下「手前味噌ですが(笑)、寄り添って作業することには自信を持っています。
どんな小さなものでも、ゴミとして扱いませんし、お客様のペースに徹底的に合わせます。
1日で終わらなくて、3日かけて作業するということも日常茶飯事ですよ」
--「片づけられない方はもちろん、非力な年配の方や、ついため込んでしまいがちな人は、やはりプロの手を借りるといいですね。
まとめ
ということで、今日のまとめとしては、大橋運輸さんが考えるリサイクルには
・輸出する
・売る
の2つの方法があり、輸出は主に精神的な面で、売るのは経済的な面でメリットがあるということですね」
松下「はい。引き取り料がかからないのは大きなメリットです。
見積もりだけなら無料で行うので、それを見ていただいてご検討もいただけます」
--「そして売る場合は早めに。
輸出は『捨てるにはもったいないから誰かが使ってくれたら…』という日本人の気質に合うので、満足度が高いと思います」
松下「あとは処分場の例を見ると、結果的にプロに頼む方がロスがないことも知って欲しいですね。
何より、捨てるよりも再利用した方が、環境にもいいですから」
--「ただ捨てればいい、というのではなく、いかに人間の心や環境に優しいかも大切ですね。
コロナ自粛で、皆さん精神的な面や地球環境に向き合うことも増えたでしょうから、こういった企業がもっと増えて欲しいですね」
聞き手:「綴屋」ライター 増田有香
https://tsuzuriya.jp/